健康経営研究会

半ハネ?

半ハネ?

半ハネ?

 先日産業医業務に興味を持つ知人から相談を受けた。ある求人サイトでは、週1日勤務の専属産業医の募集があるという。週1日で専属?と思わず聞き返したが、監督署の了承ありと記載されていたらしい。専属産業医が必要な規模は従業員が1000人以上もしくは有害業務従事者500人以上のはず。監督署が本当に認めたか理解し難いところではあるが、真面目に産業医業務をやれば週1日で務まるはずがない。そのような企業はコストカットを優先し法の網を潜ろうとするもので、産業保健に力を入れる訳もなく、絶対に受けてはいけない案件だと答えた。またホワイト500に認定された企業が2ヶ月に1回の出務を条件としているところもあるとのこと。大企業の括りで隔月訪問しか求めない会社がホワイト500に値するのか非常に疑問である。

 仲介業者が産業医を紹介する際は、会社と本人の直接契約ではなく、業者と本人間の業務委託契約とする例が見られる。この形では産業医が不適切なアドバイスをした際など企業から訴えられる危険を含むと考えられる。さらに、本来産業医に支払われるべき報酬の一部が業者に吸い上げられ、結果として産業医の契約が続く限り業者に搾取され続ける。公表されている案件で提示されている給与・報酬も、診療を行う仕事より低額が多い。ピンハネとは1割上前をはねるとする説もあるが、この状況はピンハネどころか少なくとも半分は上前をはねられている「半ハネ」ではないか。業者にとっては濡れ手で粟のこの上なく美味しい構造である。業者側としては、手数料は産業医業務におけるサポート分だとするのだろうが、経験ある産業医にはその必要は元々ない。経験の浅い産業医が希望すれば一定期間有料でサポートサービスを提供しても良いかもしれないが、有期に限るべきだと思う。このことは産業医学の価値が低く見られていることに他ならず、産業医側にも評価を上げる努力が求められるであろう。

 医療機関への入職では受け入れたところが業者に年収の何%かの紹介手数料を一度支払うだけで、医療機関、入職者ともそれ以上の義務はない。なぜ産業医の紹介だけ継続的な搾取の構造が成り立つのか。ただ、健康診断と産業医業務をパッケージで請け負う健診業者であれば、納得できるところもある。とはいえ医療機関と同じような紹介システムを提供する良心的な業界になってもらいたいと思うのは私だけであろうか。

2026年4月
理事 萩原 聡